2012年5月26日土曜日

ラダック関連映画!Dil Se心より

Dil Se.. 心より

公開:1998年
出演:シャールーク・カーン、マニーシャ・コイララ、プリティー・ジンダ




邦題付いてる通り、日本公開もしてVHSもリリース、TSUTAYAでレンタル可!
当然日本語字幕!!ボリで日本語字幕で鑑賞したのてこれとLagaanくらい。素晴らしい!!!
DVDにもしてよ!!

でも、ああ日本も捨てたもんじゃない、と思える瞬間です。
全編ヒンディー語ですが、YouTubeでも無料公開中↓↓



ボリウッドのいろんな要素(歌、踊り、恋愛、家族愛)入ってるくせに、
すごい社会派。。
歌と踊りは別途紹介している通り、どれも個性溢れて秀逸です。
ストーリーもやばいんです。

【ストーリー】

国営ラジオ局の記者であるシャールーク・カーンは、取材のため訪れた駅でマニーシャ・コイララと運命的な出会いをするが、幻のように彼女は去る。舞台は変わって分離・独立勢力が強い他の場所で取材をするシャールーク。すると幻の彼女と偶然の再会。しかし、また彼女は突然去っていく。彼女を追って訪れたラダックでも、一瞬の再会の末、砂に書かれたメッセージを残し、彼女はいなくなった。

そしてデリー。お見合いが進んで結婚が近づくシャールーク。

しかし、突然幻の彼女が姿を現し・・・?


【私、卒論はcultural studiesで映画研究でした】
インドは本当に多民族多言語多宗教多イデオロギー(今だに)etc.国家。多様すぎる。
しかし、英国植民地支配を経て、1947年無理矢理1つの国として独立してしまった。
突然引かれた国境。無理矢理押し付けられた「インド」というアイデンティティー。
多様すぎる国家が故に、に国内にいろいろな主義主張をするグループがいて
時には過激な行動に走ることも(割としばしば)。
一度国として成立したからには、国という概念の死守に走る現代国家。
この映画は、なぜかある日突然「インド」に組み込まれてしまった辺境の少数民族から見た「インド」。「インド」はもはや自分達を守ってくれる国ではなく、「インド」のために自分達は弾圧されているという現実。

どの少数民族かは特定されない。
敢えて特定できないように(本当に分離独立を主張する勢力がたくさんいるから、政治的に微妙だし)、そしてストーリーに普遍性を持たせるために、舞台は北東諸州と思われる場所→ラダック→カシミール→ケララと、多様な「インド」を印象付けるような、気候も植生も人も宗教も、全然違うところを回る。本当に、多様なのインド。

「中央」の人が、「少数民族が虐げられている現実を知らなかった」と言えば、「知らない責任はあなたにもある」と、一般市民にも容赦のない批判。

そして、緊迫したラストへ。


すごいんですよ。。「国」の概念をばっさばっさと揺さぶる。「想像の共同体」解体。本当に想像でしかないんだ、と思わせる。「国」の死守のため切り捨てられている人たちに優しい視線を向け、1つの「国」を守ろうとしている人、majorityに属しているのでそんなん気にしたこともないわ♪国は1つでしょ?他に何かあるの♪♪て人への徹底的な批判。

911後の世界でこんな大胆な映画が作れるかわからん。

て書いてたら全編クソ真面目な話ぽいけど、表面上はほぼほぼシャールーク・カーンの妄想片思い&ストーキング行為です。中央の人間代表として描かれている(と言うか無自覚な)シャールーク・カーンの強引さもまた、無自覚な「中央」的な感じがして設定も上手いんです。


ボリとか非ボリのカテゴリーなしに、今まで見てきた映画の中でもかなりハイレベルな内容と断言できる。だけど歌と踊りも秀逸で、エンターテイメントとしても十分に成り立つ絶妙なバランス感覚。ボリの実力垣間見れます。そして、ここまで分離独立派へ優しい視線を向けているし、一般市民にも容赦ないし、「国」を揺さぶられている映画で、かなり過激だと思うけど、それを製作&公開できちゃうインド言論の自由。自由だわこの国。よかった。

「国」の問題、(いろんな意味で)辺境に追いやられている人たちの主張は、インドだけじゃなく、世界中の全ての「国」が抱える問題だと思う。この映画のテーマはインド固有のものではなく、普遍性を持つもの。それを本当に多様なインドを舞台にしていることで、すごく説得力がある。

万人におススメできるのは「3 Idiots」だけど、
社会派好きにも自信を持っておススメできるのは、これDil Se..

日本でもDVD化して!!!!!!!!!!!!!


【そう言えば、ラダック映画なんです!】
映画の良さに気を取られて忘れてしまいましたが、笑、
この映画、ラダックのシーンがふんだんなんです♪
歌でも1曲全編ラダックロケのものが入っています。
美しいラダックを堪能できます!!!

ラダックという、所謂「インド」とは全く異なる地を選んだのも、インドの多様性を示すためと思われます。あと、夢のような不思議な浮遊感とミステリアスさを演出するのに、これほど最適な場所はない。ラダックの自然は現実離れした美しさ。
さすがにイスラム圏のパキスタン、チベットでいろいろある中国に囲まれて常に緊張の中にある今のラダックでは過激な分離・独立活動はないけど(「インド」からのね)。ラダックは突然引かれた「国境」を死守する最前線であり、この映画のテーマとはまた違った辺境(これは、物理的にも)ならではの問題に直面している地域でもあります。


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