2012年10月21日日曜日

2012東京国際映画祭 テセウスの船

今年の東京国際映画祭、王道ボリ作品は火の道:Agneepathですが、
他にもインド(を舞台にした)映画があります。

テセウスの船
http://2012.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=23


を観てきました。

「テセウスの船」とは、Wikiを参照すると…
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%BB%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%81%AE%E8%88%B9
テセウスの船(テセウスのふね、英: Ship of Theseus)はパラドックスの1つであり、テセウスのパラドックスとも呼ばれる。ある物体(オブジェクト)の全ての構成要素(部品)が置き換えられたとき、基本的に同じであると言えるのか、という問題である。
このパラドックスを現実的に物理的に人間に当てはめると、
構成要素(部品)=身体の器官(含臓器)
構成要素(部品)の置き換え=臓器移植

臓器移植を巡る、それぞれテーマが異なる3つの話のオムニバス。ギリシア時代から続く「テセウスの船」議論を、多様な視点からインドらしい地域性も一部取り入れながら(3話中2話)、現代の私たちに吹っかける。オムニバスだけどどこか繋がってる、て展開が好きな私。全然気づかなかったけど、繋がってたね(勘のいい方ならもうわかるかも)。

テセウスの船/2012年インド
監督:アーナンド・ガンディー
出演:アイーダ・エル・カーシフ(エジプト人)他

【「インド映画」ですけど】

  • 真面目です。堅苦しいという意味でなく。哲学的、社会的な色が強い作品。娯楽的でなく芸術的。インド映画=日本で人気のラージ二カーント(ムトゥ)、ボリウッドのエンターテイメント色が強い♪踊って歌って~だけとは決して思わないでください。
  • 3話ともムンバイを舞台にはしていますが、最初の1話は、全くヒンディー語、その他インドの言葉が出てこない。アラビア語と英語。「え、インドてアラビア語も話すけ。。??多様だし、有り得なくもないよな。。」と混乱しちゃったけど、多分ヒロイン外国人の設定だよね?実際はエジプト人の女優さんが演じています(舞台挨拶で出てきましたが、今日は決して太い訳じゃないけど豊満なボディにミニでかなりタイトな白ドレス着用、メガネに真っ赤な口紅で、見る人が見たら萌え死にしそうな恰好でした)。
  • 2話目も、ほとんど英語。これも主演男優が外国人の設定?と思ったけど、微妙。。インド人かもしれん。こちら助演男優は監督自身になります(舞台挨拶で出てきてわかったw)
  • 3話目は「インド・臓器移植」と言えば?の臓器売買がテーマとなる。
  • 以上、言葉やテーマから、明らかに非インド、映画祭向け作品??
  • だってエンタメ、歌と踊り~♪のインド本国じゃ受けなさそうなんだもんww
  • かと言って、芸術志向過ぎることも、社会的過ぎることもなく、エンタメとは言い難いけど、いい感じに(主に知的に)面白くて、オムニバスとしてもまとまった作品だと思います。
  • きっちり「インド」感も押さえているし。
  • 2話目、インドのスピリチュアルとかベジタリアン志向とか宗教(特定の宗教ではなく、ヒンディーや仏教を生み出したインドのスピリチュアル土壌というか)関連。インド勘がない人には??てなるかもだけど、インドはスピリチュアリティー発達してますから、ああゆうスピリチュアル集団がふつうに生活に溶け込んでておかしくないし、無神教は無神教なりの徹底した何かがあるんだろうな。(こうゆう教団が実際あるのかは不明ですが、あっても全然おかしくない!)
  • 3話目、前述の通り貧困と臓器売買。
  • 私でも知ってるようなメジャーどころの俳優は出てこない(作品の性格上、そうだろな)。
【その他】
  • 1話目は、主人公の設定自体がパラドクス。興味深い。
  • 私は普段から2時間越のボリウッド映画を見慣れてるから、上映時間が長いことへの抵抗は少ないが、やはり日本の観客向けにはちょっと長いか。ただ、3話のオムニバスなので間延びはしない。
  • 3話が3話とも全く別の視点からのアプローチ。出演者の性別、年齢、職業、臓器移植との関わりも。それぞれが興味深く、また、全く別の切り口なので、主題を多面的に捉えることに成功している(誰だよ私。上からww)
【監督&女優Q&A】
映画祭ならではですね。来日してくれたようです。15分くらいQ&Aがあったので要旨だけ。
この作品は哲学的な主題にインスパイアされて作ったそう。作品を通して、アイデンティティー、境界(自己/他者、生/死(人間の死?細胞の死?微生物の死?))とは何かを問いかけたいそうです。ええ、確かに。

【感想】
普遍性を持つテーマ先行+インド舞台なのでインド風味を、と言う監督の意図通り。「インド映画」として見るのではなく(「インド映画」として見ても、随所インドぽいから十分楽しめる)、エンタメエンタメではない「ちょっと哲学、社会ぽい映画」の1つとして見るべきクオリティーです。哲学&社会の両方から観れる映画。「インド映画」というステイタス(とにかく異国風味だからで済まされる)に甘んじてない。ちょっと上映時間長めなのはインド的要素を取り入れたww??



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