2011年11月19日土曜日

Bollywood映画紹介:②LAGAAN 素朴な農村歴史もの大作

TSUTAYAで見つけました・・
日本語字幕に感激です・・
日本語は、すらすらと目に入ってくるなぁ・・
全然知らなかったけど、名作と名高い映画みたいです。

②LAGAAN
2001年/ 出演:Aamir Khan, Gracy Singh
ジャンル:歴史スポーツ農村ラブストーリー
歌&踊り:ストーリーの流れに自然な素朴な農民踊り!
2001年アカデミー外国語作品賞ノミネート

ラガーン LAGAAN

↓Trailer(英語)


【キャスト】
●Aamir Khan(アーミル・カーン):2009年~10年の大ヒット作、かつこれも名作の誉れ高い3Idiotsの主演も務めている。当時既に40代だったけど学生役を違和感なく演じる(私リアルに20代かと思ってた・・)など演技派(ということだけではない気もするけど・・ボリウッドのトップ俳優は本当若く見える不思議)。LAGAAN以降は軽薄なエンターテイメント作品ではなくて、社会派だったり濃厚な映画に俳優のみならず製作・監督としても参加(LAGAANに際し、プロダクション会社を設立)。製作に関わった映画が常にヒット&話題となるインド映画の変革手との期待も高い。個人的にインドのイライジャ・ウッドって思ったんだけど(ビジュアル)w

・アーミル・カーン Wikipedia
・アーミル・カーン ナマステ・ボリウッド

【ストーリー】
大英帝国保護下の藩王国のある農村。雨が2年間降らない中、いぢわるな大英帝国将校の気まぐれで年貢(LAGAAN)が2倍になった。マハラジャの元へ抗議しに行く真っ直ぐな青年Aamir Khanを初めとする村人たち。そこに居合わせたいぢわるな将校との交渉の結果、年貢をかけた大英帝国軍人との闘いが決まった。村人が勝てば年貢が今後3年フリー、負ければ3倍という、まさに生死をかけた争いである・・・



クリケットで。

村人はもちろんクリケットなんて知らないし、勝てないと思ってるのでメンバーが揃わない。しかし、いぢわるなお兄さんに心を痛める将校の妹が手助けしたり、Aamirの気合にほだされて、だんだんと仲間も増え、満身創痍、当日を迎えた。

【見所】
ストーリーがしっかりしている。インド農村風景が楽しめる。エキゾチックな雰囲気満開。これぞみんなのイメージの「インド」。歌と踊りがストーリーの流れに自然。本当この流れが上手いと思うし、歌やダンスも農村ぽくて素朴、映画の雰囲気を壊さない。特に恋の歌が秀逸。村娘、白人の娘さん双方から(歌の中で)アプローチを受けるAamir。白人の娘さんにまで恋を歌い上げ(英語で)、踊らせてしまう。もう、すごいょ笑。白人の娘さんは垢抜けないミーガン・フォックスって感じだけど、19世紀末の貴婦人ってことを考えると控えめながら村人を助けるなど積極的。すごくいい子そうで好感が持てる。大英帝国支配へは恨みばっかりぽいけど、公平なマインドを持った白人の娘さんの(慕情によるところも大きいけど)献身的な助けと彼女の恋の切ない具合で映画全体が一概に被支配者VS支配者とはならないのが巧み。Aamirの目力がすごく、主人公的なカリスマがある。新人らしい村娘役のGracy Singhも村娘らしい素朴なかわいさで適役。クリケットメンバーになる村人も、1人1人キャラが立っている。見てると、何となくクリケットのルールが解る気がする。全面には出てこないけど、インド近代化への相克も描かれている。

何より、飽きない!面白い!


↓秀逸な恋の歌



【結論】
インドって大英帝国の植民地だったんだよなー。
歌&踊りでボリウッド映画の王道を押さえつつ、スポ魂、恋愛、長さを感じさせない3時間45分!

【蛇足:卒論はCultural Studiesで映画でした。よりそう支配者、インド近代化への道のり】
あらすじも何も見ずに観たLAGAAN。大英帝国支配に怒りを募らせる村人たちを見て、暴力アクション戦争ものか??と思ってたら・・クリケットで勝負。というww 気が抜ける・・ 

被支配側からの、植民地映画。
それだけで、わくわく。支配者の描かれ方は、時代と状況によって変化する。
2000年代初頭のインドではいかに。

支配者/白人表象が人毎にはっきりしていて迷いがない。以下しかない。
・いぢわるな支配者
・公正なマインドから先進的な技術を教えてくれ、現地に惚れ込む人。
・スポーツマンシップに忠実な人

1人の中に支配者/いいひとが混在してないから、植民者を恨んだりでも一方で恨みきれなかったり、と言った複雑な感情は喚起されず、キャラ毎に恨んだり、感情移入したり。というか、白人の娘さん以外の人物設定が浅くて、「複雑な個人」まで掘り下げてない。エンターテイメントなんだからこれ位解りやすくていいかも。

1人のキャラに複雑さを織り込むことはしないので、白人の娘さん表象が特徴的かと。真っ直ぐな主人公Aamirに惚れる娘さん。不公平さに我慢ならず&恋のパワーで熱心にクリケットを教える娘さん。コミュニケーションを取りたくてヒンディーを覚えちゃう娘さん。村の行事にも参加しちゃう娘さん。被支配/植民者の関係を超えて、不公平に憤り被支配側に寄り添って、被支配側に染まっていくオープンな人物として描かれている。村の高台に建つヒンズー寺院に祭られているクリシュナとラーダ像の関係(恋愛関係ではなく、深い絆で結ばれている)が、娘さんとAamirの関係に素敵にリンクしてるのもいい。
 あと、クリケット老審判の公正さも。スポーツマンシップに則ってる公正さ。が、含みのある最後の重要なジャッジの描写もいい。スポーツマンシップに則ったものなの?それとも・・て。

2000年初頭のインドでは、ことさら過去の支配者をいぢわる一辺倒で描くことより、よりそう支配者を中心に描かれている様子。エンターテイメント作品だし、無用な関心を引き起こす意図はないだろうし、多分に「インドに惹かれる支配者」を通して「魅力的なインド」を表象するナショナリズムもあると思う。

インドの多様性も随所に。ヒンズー、ムスリム、シークと、様々な宗教の人が混在するチーム。テスト(試合)の前に、ヒンズーの神に祈ったり、アッラーに祈ったり、グル・ナーナクに祈ったり。
身体的特徴から、必殺スピンを投げられるアンタッチャブルを暗示させる男もチームに加入。村人みんな反対だけど(「英国人と戦うのはいいが、そいつを入れるのは許さん」とまで言われるし)、真っ直ぐな男Aamirの熱さによって、チームに迎えられる。身体的ハンデが長所となる。身分の差なんて関係ない。って、インドの暗部にも触れちゃうけど、前時代的対立の克服、英国支配からの脱却の手段として、多様さゆえのバラエティーに富んだ強さで力を合わせて闘うなど。

現代インドのプライド、そしてインド近代化への道のり(理想論)が端的に描かれているかと。


↓これもステキ。村娘Gracy Singhがかわいい。衣装もかわいい。
クリシュナとラーマの歌。ラーマ(Gracy)の嫉妬もかわいい。



*何より、日本語字幕がこんなありがたいものだとは!日本でももっと沢山ボリウッドDVDリリースして~

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